2011 Fiscal Year Annual Research Report
パチンコ遊技への病的な嗜癖を示す成人に対する集団認知行動療法の効果検討
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21530719
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
神村 栄一 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (80233948)
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Keywords | 認知行動療法 / 嗜癖 / 成人 / 集団療法 / パチンコ |
Research Abstract |
本研究の目的は、パチンコ遊技に限定して「病的賭博」の診断基準を満たす成人を研究協力者とし、これに特化した集団認知行動療法介入のプログラムを開発、その効果を検討することである。4年計画の3年目にあたる平成23年度中では、前年度からの継続で国内外の、ギャンブル依存介入に関する資料を集め、かつ、実践機関から専門的な介入について助言・指導を受けつつ、パチンコ・パチスロとよばれる遊技への依存への介入プログラムの洗練をすすめた。また、このプログラムギャンブルへの参加希望者(成人男女)を対象に、平成23年度も、以下の計画で介入を行った。(1)十分な倫理的な配慮の上で参加協力の意思を確認、(2)集団認知行動療法介入(1回90分の集団セッションを月1のペースで実施した)を実施、(3)関連尺度を用いて、介入効果について調べる(継続中)。(3)プログラム終了後も、メールや郵送などを用いて、効果の追跡調査を行った。なお、中心的な介入プログラムは、メンバーの自己紹介、介入担当者によるプログラム紹介、ギャンブル依存および認知行動療法についての心理教育、メンバー相互の話し合い、などから始め、認知再構成、刺激統制、曝露、セルフモニタリング、などをすすめるものであった。 これらの介入研究と平行して、平成24年度から開始する介入プログラムの計画をたて、新潟県外の都市部で介入研究を実施するべく、研究協力を得られる機関と準備をすすめた。 また、国内学会で学術発表の準備をすすめ、平成23年6月および11月に学会発表をおこない、臨床実践あるいは、評価のための尺度の吟味などについて意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成21年から24年の4年間にわたる研究計画である。俗にパチンコ、パチスロとよばれる遊技への依存者を研究協力としてもとめることに困難があったが、平成22年度後半から、他県の依存症治療に力をいれている病院との研究連携が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
ギャンブル依存者への集団認知行動療法の効果を確認するためには、(1)介入グループへの参加者を増やすこと、(2)介入効果の比較対象のためのウエイティングリスト群などの確保が望ましい。しかしながら、倫理的な制限もあり、その確保が難しい。これらの点については、日本固有の事実上のギャンブルである、パチンコ・パチスロに対する認知行動療法の研究がまだ緒についたばかりであることを考慮し、当初の研究計画を若干変更し、無対照臨床介入研究としデータを蓄積させることとした。
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