2010 Fiscal Year Annual Research Report
中学生における無気力感パターン別援助プログラムの開発
Project/Area Number |
21530725
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
牧 郁子 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (70434545)
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Keywords | 中学生 / 無気力感 / 援助プログラム / モデル検証 |
Research Abstract |
22年度は中学生の無気力感のパターンを検討するために,A中学校(進学校)とB中学校(学力困難校)2校の協力を得て調査を実施した。A中学校・B中学校における無気力感高群においてクラスター分析を行った結果,A中学校では4クラスターに,B中学校では2クラスターに分類された。A中学校におけるクラスター1は,非随伴経験と思考の偏りが高く「認知の歪み型無気力感」と考えられた。またクラスター2は指標が全般的に平均値を下回っていることから,「行動化低群」と考えられた。またクラスター3は非随伴経験・教師と勉強に関する思考の偏りがやや高い「認知の歪み優位型無気力感」と考えられた。さらにクラスター4は,随伴経験とコーピング・エフィカシーがともに低い「動機づけ低下型無気力感」と考えられた。一方B中学校におけるクラスター1は,随伴経験とコーピング・エフィカシーがやや低く,勉強における偏った思考がやや高いことから「学力不振型無気力感」と考えられ,クラスター2は非随伴経験・思考の偏りが高く,随伴経験とコーピング・エフィカシーが低いことから「認知の歪み・動機づけ低下混合型無気力感」と考えられた。 A中学校は無気力感の要因が多様であり,援助を行う際に,認知の歪み,動機づけの低下,行動そのものの低下いずれの側面が主要因になっているか検討する必要があると考えられる。一方B中学校の要因は多様ではないが,際立った随伴・非随伴経験のないことが特徴のクラスター1と,非随伴経験の多さが特徴のクラスター2では,有効な援助が違うものと考えられる。以上のことから,学校風土によって無気力感パターンには違いがあり,有効な関わりも違う可能性が示された。こうしたことから23年度は,学校風土別の無気力感パターンを考慮に入れた,教員の関わり方に関するプログラム作成を行う必要性が示唆された。
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Research Products
(5 results)