2009 Fiscal Year Annual Research Report
施設内虐待・暴力への包括的対応に関する臨床心理学的研究
Project/Area Number |
21530732
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田嶌 誠一 Kyushu University, 人間環境学研究院, 教授 (70163459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯嶋 秀治 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 准教授 (60452728)
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Keywords | 心理学的介入 / 児童養護施設 / 虐待・暴力 / 安全委員会 |
Research Abstract |
全国の児童養護施設で、被虐待児の人所が増えてくるにつれ、養護施設への心理職の配置が認められ、各種の個人心理療法が試みられてきた。だが心理臨床研究では、過去に形成されたトラウマの心理援助を主目的としてきたので、日本で児童養護施設内の児童を巡る暴力問題に取り組む時、個人心理療法のみでは、大きな問題を孕んでしまうことを憂慮し、「施設内虐待・暴力への包括的対応に関する臨床心理学的研究」を計画した。具体的には、集団で日常生活をおくる境遇にある児童養護施設の環境を「安心・安全」にするために考案した「安全委員会方式」を各施設で経験的に観察された諸現象をより濃やかに比較・検討することを目指した。 このため本年度は主に、(1)情報収集の機器をそろえつつ、(2)研究に従い、主に【研究3】「施設ネットワークづくり」を行い、【研究2】「安全委員会方式」実践施設の比較検討の予備的調査を行った。以下に、それぞれの具体的内容と意義を述べる。 (1) 基礎的な機材の整備:前年度4月より、児童福祉法が改正され、施設内の児童間での暴力の放置が職員の責任問題になることが制度化された。このため、これまでは取り組んでこなかった学問的な先行研究や論文の情報のみならず、日常的なニュースや報道番組での情報収集を目的として、自動録画機能を備えたAV機器をセッティングし、またその情報をストックするデスクトップPCなどの機材を充実させた。 (2) 本年度の研究:【研究3】施設ネットワークづくり:これまで、「安全委員会方式」は、6県12施設で採用され、それぞれの施設環境にあった運営が継続されてきたが、今後「安全委員会方式」の広がりが、さらに要請されることが予想されるため、「安全委員会」を実践してきた各施設のネットワーク作りを支援する意味で、既に実績を持っている施設同志で「第1回全国児童福祉施設安全委員会連絡会」を開催し、「自助施設集団」として、支援しあってゆけるようにした。【研究2】施設比較のための予備調査:上述の連絡会には飯嶋が参加し、今後の比較検討の予備的記録をとり、インタヴューを行った。
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Research Products
(9 results)