2010 Fiscal Year Annual Research Report
施設内虐待・暴力への包括的対応に関する臨床心理学的研究
Project/Area Number |
21530732
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田嶌 誠一 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (70163459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯嶋 秀治 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 准教授 (60452728)
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Keywords | 児童養護施設 / 虐待・暴力 / 安全委員会 |
Research Abstract |
本研究では、施設内虐待・暴力へ包括的な対応を行うことを目的とした。そこで、研究代表者が提起した(1)内面探求型アプローチ、(2)ネットワーク活用型アプローチ、(3)システム形成型アプローチのうち、第三番目のアプローチとして考案した「安全委員会」方式を中心に据えた。具体的には、(1)施設風土尺度を見立て、(2)安全委員会方式を採用してきた施設の比較検討を行い、(3)システム・ネットワーク内での心のケアを計画した。 このうち、(1)施設風土尺度に関しては、学級風土尺度を考案し、それを施設の実情把握に用いることが可能であることが検討された。(2)安全委員会方式の比較については、(A)安全委員会を始める前と始めた後での比較を核施設で統計を取り続けており、7県14施設の比較では、安全委員会発足後、深刻な暴力は急速に軽減し、一見、統計的に変化がなかったり、むしろ増えたように見える施設では、深刻な暴力が亡くなった後の、弱者・年少者達の軽微な暴力が一時増え、その後、いずれも減少するという傾向が見られた。また(B)安全委員会を導入していない施設との比較においては、少数ではあるが、東京や名古屋で施設内暴力の統計が明らかとなり、調停機関として第三者委員会や生活構造の改善に取り組んだ施設の報告があるため、この検討を行った。最後に、(3)システム・ネットワーク形成においては、2011年に第2回目の全国大会を開催し、ネットワーク形成の基盤を整えたことにより、これまでも行ってきたケース会議に加え、施設間の事例検討で心のケアについて検討を行えるようになった。 本研究成果については、研究企画書に沿い、来年度刊行書物として公表する予定である。
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