2011 Fiscal Year Annual Research Report
項目反応理論にもとづく妥当でない回答の検出指標が臨床群を識別できるか
Project/Area Number |
21530734
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鋤柄 増根 名古屋市立大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (80148155)
|
Keywords | 項目反応理論 / 多値の項目反応モデル / person-fit / 臨床群 / MMPI / 社会的望ましさ / 短縮版 |
Research Abstract |
今年度は,項目反応理論のperson-fitによる臨床群と健常群との弁別の可能性を探るためにMMPIに関して実施した昨年度分析を,臨床データ(特に抑うつ群)を増やして再度実施した。その結果,昨年度と同様に,統合失調症群では,健常群とは異なり,特性値の推定とperson-fitの間に正の傾きを持つ回帰式が得られたが,抑うつ群では,健常者と同様に負の傾きの回帰式が得られた。つまり,統合失調群と健常群の間には連続性がなく,抑うつ群と健常群の間には連続性がある可能性が昨年と同様に示された。 社会的望ましさの影響の影響については,項目反応理論のMuraki(1992)のGeneral Partial Credit Model(GPCM)による,各項目の位置のパラメタの推定を753名のデータに関して行った。さらに,Thurstonの系列範疇法によるに各項目の位置を推定し,両者の関係を検討した結果,よく似た結果ではあったがGPCMのよる推定値の方が,頻度の少ないなどの理由でカテゴリーをまとめることの影響が少ないものであった。 今年度は,MMPIの短縮版を作成するための基礎的な検討を行った。短縮版の作成は,項目反応理論によるパラメタを参照して,識別力の高い項目を上位からいくつか使うという方法をとった。また,短縮版が完全版との等価性を検討する方法として,完全版を実施した群を,対応をとった2群に分けて,その両群の間の相関をとる方法を考案し,その方法の有効性をシミュレーションによって検討した。シミュレーションデータは項目反応理論に基づいて発生させた。その結果この方法はかなり有効であることが確認された。
|
Research Products
(1 results)