2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530742
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
坂本 真士 Nihon University, 文理学部, 教授 (20316912)
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Keywords | 自殺 / 抑うつ / 予防 / 地域 / 援助 / 実践 |
Research Abstract |
本研究の目的は、青森県A町において自殺予防のための啓発活動(従来の医療モデルとは異なる、心理社会的な視点からの介入)を行い、その効果を質問紙調査などにより検討することであった。 本年度はまず、A町の保健福祉課と共同して作成した心の健康に関する啓発ビデオを用いた活動を行った。啓発活動はなるべく多様な機会を利用することを目指し、啓発ビデオの各戸回覧(回覧板を回す要領で各戸に回覧してもらうことで近所づきあいを考えるという意味もある)や、各地区の集会所などでの上映会、町内循環バス内での上映などを行った。また、平成21年12月より、心の健康増進に関するテーマを毎月1つ取り上げ、イラストを入れたチラシ(A4サイズ両面カラー印刷1枚)を作成し、町内各戸に配布している(各月のテーマは、12月「身近は人との挨拶」、1月「飲酒について」、2月「娯楽の大切さ」、3月「借金について」)。上映会や町内循環バス内での上映は好評を得ている。チラシの配布についても、イラストのスペースを多くとり、内容も生活や心身の健康に密接に関連したものにしており、わかりやすいとの評価を得ている。 質問紙による効果の測定については、町役場の協力を得て、町内在住の30歳以上80歳未満の人の中から無作為に2000名を抽出し、郵送による質問紙調査を実施した。現在、データ分析の作業を進めているところである。 保健福祉課の職員と最低2週間に一度は電話で連絡を取りながら研究を進めていることもあり、実施に関して大きな問題は生じていない。地域でのつながりが求められている昨今、自殺対策だけでなく心の健康増進を目指したこのような地域援助は全国的にも珍しく、貴重な取り組みと言えよう。
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