Research Abstract |
平成23年度は,幼児の母親を対象としたうつ予防のために開発されたプログラムの実施と効果の検証が研究目的であった。平成22年度に全5回のプログラムを実施したが,育児中の母親を対象としたとき,全5回参加することが難しいことが明らかとなったため,プログラム内容を,参加者の感想を参考に修正し全4回のプログラムを開発した。育児にストレスを感じている母親10名を対象に,プログラムを実施した。各回のテーマは(1)ストレス・プロセスについて,なぜストレスを感じるのか,(2)子どもの上手なほめ方・叱り方,(3)子どもの困った行動を変える方法,(4)リラクセーションでストレスを軽減させる,であり,認知行動療法のストレスマネジメントに基づいたプログラム内容であった。プログラムの開始前と終了時に,うつ傾向,ストレス・プロセス,セルフ・エフィカシー,ソーシャル・サポートについての質問紙への回答を求めた。質問紙への回答を分析した結果,プログラム前後両方に回答した参加者7名全員のうつ傾向がプログラム開始時に比べて,終了時には有意に低下していることが明らかとなり,本プログラムがうつ傾向低減に効果のあることが示された。また,平成21年度の研究結果から,子どもの問題行動が多くの母親にとってストレッサーとなっていたが,本プログラムに参加することによって子どもの問題行動に対する知所行動が分り,ストレスが軽減されていることも明らかとなった。参加者の感想から,自分のストレスに対する自覚が生じ,そのことがリラクセーションや子どもの問題行動への適切なコーピングを促し,ストレス軽減に結びつくことも示された。また,これからのプログラム実施のため,参加者に配布するためのマニュアル「楽しく子育て講座」を作成することができた。
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