2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530769
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
金城 光 大妻女子大学, 社会情報学部, 准教授 (00327298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 寛之 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (30202112)
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Keywords | 記憶 / 信念 / 高齢者 / メタ認知 / 生涯発達 |
Research Abstract |
1.本研究の目的 高齢者の記憶の信念は、不正確な自己の記憶能力のモニタリングに関係があり、高齢者の記憶行動にマイナスの影響を与えている可能性が指摘されているが、詳しいことは明らかでない。そこで本研究では高齢者の記憶の信念について、1)日常的な記憶行動や記憶課題の成績との関係、2)記憶に関する暗黙理論との関係、3)社会情報との関係、この3点から調査する。調査結果をふまえ、高齢者の記憶の信念に影響している要因や信念の特徴を若年群・中年群と比較することによって生涯発達の観点から総合的に考察し、その問題点を明らかにする。 2.平成23年度の研究成果 1)上記目的の2)について、健常成人の記憶に関する暗黙理論(一般的な信念)についての特徴を明示化することができた。具体的には、健常な成人(若年群(19-25歳),中年群(38-55歳),高齢者群(63-75歳))が、一般的な記憶能力の年齢による変化をどのように捉えているのかについてGeneral Belief about Memory Instrumentを用いて調査した結果をまとめた(現在論文を投稿中)。 2)本調査で集めたデータの一部を用いて、The Metamemory in Adulthood questionnaire(MIA)の日本語版を作成しその因子構造を明らかにするとともに、短縮版MIAを作成した(現在論文を投稿中)。 3)上記目的の1)について、成人3群の認知成績を調査し、記憶の信念との関係についての予備的分析を行った。結果、記憶課題によって3つの年齢群の差が異なる傾向が見られた。記憶以外の認知課題では、一部を除く全ての課題で、成人3群間の成績に非常に有意な差があり、高齢群、中年群、若年群の順に成績が良くなった。従来から高齢者が記憶に対して誤った信念を持っている可能性が指摘されてきたが、今回の調査からこの傾向は実は中年期よりすでに始まっている可能性が考えられ、今後の詳しい調査が必要である。今後は、高齢者の記憶の信念の全体像を明らかにするため収集したデータについて共分散構造分析を行う予定である。
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Research Products
(1 results)