2010 Fiscal Year Annual Research Report
顔年齢が衝動性や抑制判断に及ぼす影響-子供の顔は衝動性を抑制させるのか?-
Project/Area Number |
21530775
|
Research Institution | Shizuoka Eiwa Gakuin University |
Principal Investigator |
永山 ルツ子 静岡英和学院大学, 人間社会学部, 准教授 (40326434)
|
Keywords | 実験心理学 / 認知心理学 / 顔の認知 / 視線 / 親子関係 / メンタライジング |
Research Abstract |
平成22年度は、メンタライジングという観点から幼児の顔の表情に対する視線方向の効果について検討した。例えば、泣いている幼児の顔に成人女性が視線を向けていない状況を見たとき、この女性は、幼児に無関心かもしれないと解釈することができる。「メンタライジング」の発達は、発達初期に形成される母子関係と関係があり、その後の人間関係全般に強く影響を及ぼすことが示唆されている。例えば幼児期に安定した愛着を形成していた青年は不安定愛着型の青年よりも,対人関係や感情制御能力が高かったことが報告されている。 本実験では、成人女性の視線が幼児の顔(笑顔・泣き顔)を向いている状況、向いていない状況という仮想母子相互作用状況場面下で、実験参加者の親子関係の安定度の違いが視線方向判断にどう影響するのかを検討した。実験では、コンピュータ画面の中央に、正面向きの成人女性の顔を提示し、その後、視線のみ左右いずれかの方向を向いた画像を提示した。同時に両側のいずれかに幼児の顔を提示した。実験参加者の課題は、成人女性の視線方向を判断することである。実験参加者には、前もって親子関係尺度を課しており、親子関係の信頼度の高低で、視線判断時の反応時間に違いが見られるかどうかを検討した。その結果、視線方向判断は、実験参加者の親子関係の安定度によって違いがみられた。親子関係の安定度が低い場合、視線の方向だけではなく、幼児の表情も加味した全体的な状況で判断する傾向があり、特にネガティブな状況下で何らかの心的葛藤により判断が遅れることが示唆された。愛着を含めた親子関係とその後の対人関係能力に関しては、発達という観点から論じられることが多いが、本研究の意義は、親子関係の安定度が視線方向判断という認知的側面にも影響することを示した点で評価されると考えられる。
|
Research Products
(1 results)