2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530781
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坂本 敏郎 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 助教 (40321765)
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Keywords | 瞬目反射条件づけ / 扁桃体 / 赤核 / マウス |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、マウスの瞬目反射条件づけの神経回路を明らかにすることである。ウサギの瞬目反射条件づけにおいては、小脳回路が必須であることが多くの研究で示されてきたが、マウスにおいては小脳回路以外の部位が瞬目反射条件づけに関与している可能性が指摘されている。そこで、本研究では、扁桃体と赤核が瞬目反射条件づけの獲得および表出に果たす役割を検討した。 扁桃体もしくは赤核にGABAA受容体アンタゴニストであるムシモールを投与し、瞬目反射条件づけを行った。条件刺激(CS)には、10kHzの純音、無条件刺激(US)には100Hzの電気ショックを用い、1日50試行の条件づけを15日間行った。ムシモールの投与は条件づけの15分前に行われた。 結果、扁桃体にムシモールを投与しかマウスは、瞬目反射条件づけの学習指標である条件性の瞬目反応が阻害され、ムシモールの投与を止めると、条件性瞬目反応が徐々に生起していった。このことは、扁桃体がこの条件づけの獲得に関与していることを示している。また、学習が獲得された後に再度ムシモールを投与すると条件性瞬目反応は再び阻害された。このことは扁桃体が条件づけの表出にも関与していることを示している。赤核にムシモールを投与したマウスは、条件性の瞬目反応が完全に阻害された。また、ムシモールの投与を止めると条件性の瞬目反応は統制群と同じ程度にまで上昇した。このことは、赤核がこの条件づけの獲得ではなく表出に関与することを示唆している。これらの結果より、扁桃体および赤核がマウスの瞬目反射条件づけに重要な役割を果たしていることが明らかになった。これらの成果は、第32回日本神経科学学会および第60回動物心理学会において発表した。
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Research Products
(5 results)