2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530781
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坂本 敏郎 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教 (40321765)
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Keywords | 瞬目反射条件づけ / マウス / 扁桃体 / 海馬 / 行動解析 |
Research Abstract |
昨年度までの研究において、マウスの瞬目反射条件づけには、小脳に加え扁桃体が重要であることが示された。これらの成果を論文としてまとめ、European Journal of Neuroscience誌に投稿、受理された。さらに、小脳核を電気的に損傷したマウスを用いて、瞬目反射条件づけの音弁別課題を行い、結果を詳細に分析した。小脳損傷マウスは、1kHz,10kHzのそれぞれのCSに対して瞬目反射条件づけを獲得することが示されたが、この2つのCSを用いた弁別課題には重篤な障害を持つことが明らかになった。 これまでの研究において、マウスの瞬目反射条件づけは、扁桃体と小脳が重要な役割を持つこと、つまり情動性と学習機能の相互作用よって獲得されることが示された。そこで、脳内での学習機能と情動機能の相互作用に着目し、神経軸索形成に重要なタンパク質(Draxin)が欠損されたマウスを用いて、行動テストバッテリーを行った。Draxinノックアウトマウスは海馬が萎縮し、また左右の脳の連絡線維である脳梁が障害されている。行動解析の結果、これらのマウスは、暗期での活動性が高く、強い光を嫌悪した。また空間認知課題、社会的認知課題においても障害を示した。これらの結果より、Draxinの欠損によって海馬と左右の脳連絡が障害されると、活動性、情動社会性、記憶学習機能に障害が認められることが明らかとなった。この成果は日本神経科学学会において発表された。社会的認知機能に重要な役割を果たしているオキシトシンの受容体が欠損したマウスを用いて、長期の社会的記憶に関わるオキシトシン受容体の役割についても検討し、日本動物心理学会で発表した。
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