2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530781
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坂本 敏郎 筑波大学, 教育イニシアティブ機構, 准教授 (40321765)
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Keywords | 瞬目反射 / マウス / 社会行動 / 小脳 |
Research Abstract |
これまでの研究において、マウスの瞬目反射条件づけには、小脳に加え扁桃体が重要であることが示されている。特に、強い条件刺激(CS)を用いた場合には、瞬目反射条件において扁桃体の役割が重要となる。一方で、小脳は複雑な認知機能を持つことが、多くの研究で報告されており、強いCSを用いた場合は、単純な条件づけではなく、複雑な課題に関与すると考えた。そこで、強いCSを2種類(1kHz,10kHz)用いて、従来の瞬目反射条件づけを行ったところ、小脳損傷マウスはその課題を遂行できた。しかし、一方のCSだけ無条件刺激(US)を提示する弁別課題では、小脳損傷マウスはCS+だけでなくCS-にも瞬目反応を示し、この課題を遂行できなかった。この研究は、来年度の神経科学学会で発表し、英文雑誌に投稿する。 さらに、本年度はマウスの情動性および扁桃体の機能に着目し、恐怖条件づけや社会的認知機能の神経回路および分子機構を明らかにする実験を行った。高い不安を示すと報告されているエストロゲンβ受容体欠損(ERβKO)マウスを用いて恐怖条件づけを行ったところ、ERβKOマウスは、文脈依存テスト、手掛り依存テストの両方において条件性の恐怖反応であるフリージングの量が高いことが示された。またオキシトシン受容体欠損マウスを用いて長期間にわたって社会的認知テストを行った。その結果、訓練初日、2日目では、他個体の弁別に障害を示したが、3日目、4日目になると障害が認められなかった。このことより、オキシトシン受容体欠損マウスは、長期間他個体と遭遇する経験を持てば彼らを認知できるようになることが示唆された。これらの結果も、来年度の神経科学学会において報告する。
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Research Products
(4 results)