2010 Fiscal Year Annual Research Report
日韓中における学校カリキュラム開発モデルの再構成に関する研究
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21530787
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田中 統治 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (40128046)
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Keywords | カリキュラム / カリキュラム開発 |
Research Abstract |
1.平成22年10月に韓国教育学会による国際カンファレンスにおいて招待講演を行った。その際、韓国カリキュラム学会の主な研究者から研究情報を収集すると共に、カリキュラム開発の指定校を訪問調査した。このため、研究資料の購入、英語論文の校閲、調査同行者への交通費と謝金、発表用資料の作成謝金、及び資料の翻訳と記録等のための謝金を要した。研究の実績として第2年次に計画した目的に即して、下記の結果が得られた。 2.PISA等に見られる国際学力調査がカリキュラム開発モデルの再構成にどう影響しているか、その動向について、日韓中の資料を検討した。その結果、カリキュラム・マネジメント(日本)や校本課程(中国)の方針に示されるように、各学校が自律的・組織的にカリキュラムを改善するためのモデルが強調されており、この動向を教育のグローバル化による再構成要因と名づけることができる。 3.教育のグローバル化に影響される日韓中のカリキュラム施策は、OECD-CERIが70年代に提唱した「学校に基礎をおくカリキュラム開発」(SBCD;School-based Curriculum Development)モデルの有効性を検証するために、指定校や重点校の方式による優遇措置を講じ、直接あるいは間接的にカリキュラム開発に必要な諸資源と教員研修プログラム等を提供しようと試みる特徴を示しており、その成果物と評価資料が注目される。 4.日韓中のカリキュラム研究者グループの立場は米国モデルの受容度によってそれぞれ異なる。当該国のカリキュラム開発モデルを再構成する上では実証的な評価資料による根拠付けが必要なことが次第に自覚されてきている。このため、成果重視型のモデルに傾きながら、一般校でカリキュラム・マネジメントに収斂する方向と、指定校や重点校を中心にセンター化して普及させる方向とが見出せる。今後、地方教育委員会等が学校でのカリキュラム開発を促す上で、従来のモデルをどう再構成しているか、その文脈と来歴を含めて解明する必要がある。
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Research Products
(5 results)