2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530797
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
伊藤 敏子 三重大学, 教育学部, 教授 (20269129)
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Keywords | 新教育運動 / 感性教育 / 身体教育 |
Research Abstract |
22年度に実施した研究の具体的内容 本研究は「感性教育」と「身体教育」の関わりを19世紀から20世紀にかけて世紀転換期に展開された新教育運動のなかで追及することを目的としている。8月には教育史国際学会第32回大会(オランダ・アムステルダムで開催)で、多くの新教育運動家が新興富裕市民層の子女を対象とした私立学校において児童中心主義の思想に基づく感性教育および身体教育の実践を試みていたなかで、貧困層等の子女を対象として同じ思想に基づく感性教育およぎ身体教育の実践を試みていたグループに注目し、「日本の法的政策における子どもの発見:1907-23」というタイトルで発表した。11月および12月には、日本の新教育運動家の設立した学校における教育実践の実態を公文書において確認するため宮内公文書館および国立公文書館(いずれも東京)で資料収集を行った。これまでに収集した資料を手がかりとして、『三重大学教育学部研究紀要』掲載論文である「新教育における心身論と教育愛の連関」を執筆した。 22年度に実施した研究の意義、重要性 「感性教育」と「身体教育」の関わりを重視した新教育運動の発想は、個々の新教育運動家が設立した私立学校において個別に実施されていただけではなく公の社会政策および福祉政策と連動していたということが、従来には注目されてこなかった側面として浮上してきた。教育政策を超えた領域とどのように手を携えながらその実践が深化されてきたかについては、新教育運動を俯瞰する上でさらなる解釈の余地を残していると思われる。
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