2009 Fiscal Year Annual Research Report
バウハウスの工房における創造性教育の成功要因の解明
Project/Area Number |
21530799
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
長谷川 哲哉 Wakayama University, 教育学部, 教授 (50031810)
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Keywords | 教育学 / 芸術諸学 / 美術史 / バウハウス / 創造性 / 芸術大学改革 / 美術教育 / デザイン・工芸 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ドイツ・ワイマール期の革新的な造形芸術学校バウハウス(とくに陶器工房と金属工房)における創造性教育を成功させた諸種の要因を解明することである。その中心的なものは、初代校長W・グロピウス(建築家)と予備課程を担当した初期教師J・イッテン(画家)の教育観・教育方法である。 そこで本年度は、イッテンに根本的かつ持続的影響を与えたのが、彼の師範学校時代の若き校長E・シュナイダーの、当時(世紀転換期)の改革教育学的な教育観・教育方法であったことを詳細に実証した。それと同時に、これまで不明であったシュナイダーの改革教育学(特に労作教育論)思想の全貌、及びそれと美術工芸改革運動の関連とを明らかにした。 さらに本年度は、グロピウスによるバウハウスの教育学的構想の成立には、当時の改革教育学運動(特に労作教育運動と創造主義的芸術教育運動)からの深甚な影響があったことを、彼独自の教育学上の立場や見解を含め、詳細に実証した。グロピウスが1919年のバウハウス創立宣言において「美術学校は再び工房に解消されなければならない」と主張したとき、彼は工房の創作機能と同時にその豊かな教育機能をも考えていたのである。 本研究全体は、芸術文化の発展に大いに寄与したバウハウスの創設と展開に教育学が如何なる貢献をしたのか、その内容や範囲などを明らかにすることに結果的としてなるが、これが本研究の学術的な特色でもあり、独創的な点でもある。本年度において、このような〈教育学から専門科学・芸術へ〉の流れの基本部分を描き出すことができた。
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Research Products
(4 results)