2009 Fiscal Year Annual Research Report
教育的パフォーマンスにおける伝授の両義性に関する研究
Project/Area Number |
21530802
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
土戸 敏彦 Kyushu University, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (30113096)
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Keywords | パフォーマンス / 両義性 / 教授的伝授 / 虚構 / ふり |
Research Abstract |
「教育的パフォーマンスにおける伝授の両義性」というテーマの下で研究を進めているが、21年度はいわばその地均しの段階における作業を行なった。当初の研究計画にもあるように、道徳の生成状況とパフォーマンスの両義性との関係についての考察がその中心である。道徳の生成についてはさまざまな見解があるが、少なくとも「生成」という以上はカント流の義務論ないし超越論的立場は考えがたい。したがって、イギリス経験論その他の思想を参照しつつ、いわば思考実験を重ねながら着実に理論構成を行ないつつある。 デリダの法の起源についての考え方を参照しながら、道徳の生成の問題を追究してきたが、そのなかでかなり明確になってきたのは、道徳なるものの正体が(いわばリアリティをもった)「虚構」ではないかという着想である。単なる幻のような虚構ではなくて、個人の日常生活においても、共同体社会においても厳然たるリアリティをもっているが、その実それは「虚構」である。ただし、通常個人も社会もその虚構性に気づいていない虚構である。この点については、以前から筆者自身は「自明性」生成のメカニズムについて思索を重ねており、現在まだ印刷文書というかたちをとるには至っていないものの、目下「自明性」と「虚構」との関係性を明らかにしつつある。なお、近年出版された小坂井敏晶『責任という虚構』東京大学出版会2008,のなかにも示唆深いものがあったことを付け加えておきたい。 また当該年度に発表した「教育の営みと実存の問いの相克」に関する論文は、本研究のテーマから見るかぎり、両義的パフォーマンスが自覚化される前段階の教育についての「実存」といういわばオーソドックスな視点からの考察という位置づけをしている。
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Research Products
(1 results)