2009 Fiscal Year Annual Research Report
ニュージーランドにおける保育の自己評価とアセスメントに関する研究
Project/Area Number |
21530810
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
鈴木 佐喜子 Toyo University, ライフデザイン学部, 教授 (70196814)
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Keywords | ニュージーランド / 保育・幼児教育 / 自己評価(Self Review) / アセスメント / 学びの物語Learning Story / マーガレット・カー / 専門性開発 |
Research Abstract |
2009年度は、自己評価に重点を当て、文献、ニュージーランド現地調査(2009年8月16日~29日)、保育者へのインタビュー・質問紙調査を実施した。明かになったことは、以下の通りである。 1)自己評価とは、「改善を成し遂げるために、準備し、情報を集めてその意味を理解・検討し、決定を行う計画的なプロセス」であり、「子どもたちの学びに対する実践の影響を評価する機会を提供する」(教育省『自己評価ガイドライン』)ものである。今日では、すべての認可保育・幼児教育施設は、自己評価を実施し、理念、プログラムと実践を検討することが規則によって求められている。 2)保育・幼児教育施設における自己評価は、アセスメント実践に比べて実施率が低い現状がある。その理由として、自己評価ガイドラインが発行されてからの期間が短い、研修(専門性開発)が十分になされていない、時間的余裕がない等があげられた。しかし、自己評価の実践は、多様で、ユニークかつ質の高いものであった。この点は、我が国の自己評価にとって示唆に富み、大きな意味を持っている。更に調査を進めていく予定である。保育者への聞き取り・質問紙調査の回答数が少なかったため、次年度の調査ではこの点を重視し、回答数を確保したい。 3)アセスメント実践「学びの物語」については、ほとんどの保育者がその意義を評価し、保育者自身・子ども・親・他の職員のそれぞれにとって有意義であるとの回答が多かった。「時間がかかる」ことが課題として指摘されたが、現在では、アセスメントの資料作成や計画など、子どもから離れた職務時間を確保する施設が増加している。また、研修(専門性開発)が大きな役割を果たしていることも明らかになった。アセスメントの実践という点では、多様で質の高い実践が展開されていた。
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