2011 Fiscal Year Annual Research Report
台湾・朝鮮における植民地教育政策策定過程の比較研究
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21530814
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Research Institution | Hosen College of Childhood Education |
Principal Investigator |
佐野 通夫 こども教育宝仙大学, こども教育学部, 教授 (20170813)
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Keywords | 朝鮮 / 台湾 / 植民地 / 教育政策 / 政策策定 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本の2つの総督府が置かれた台湾と朝鮮における教育政策策定の具体的過程、特に両植民地で実施された教育政策相互間の共通性と差異を検討することを通して、戦前日本の植民地教育政策の構造的特質を解明することにある。すなわち、本研究は、史資料の検討を通して、台湾と朝鮮における教育政策の展開の具体的過程、その共通性と差異を明らかにする事により、植民地権力と本国政府の関係、植民地政策の決定主体を明らかにしようとするものである。 台湾においては、1919年に「台湾教育令」が出されるまで、総合的な教育法令が公布されることはなかった。一方、台湾より15年遅れて植民地となった朝鮮においては、併合の翌年である1911年には「朝鮮教育令」が出されている。この「(第一次)朝鮮・台湾両教育令」は、1922年2月6日、同時に改正され、「(第二次)朝鮮・台湾各教育令」に変えられた。その後、1938年には朝鮮教育令のみが全文改正された。 両者が再び同時の改正をみるのは、1941年の国民学校制度施行に関連してである。先に記した朝鮮における1938年の改正においては学校名称の日本のそれへの同一化や、志願兵制度の実施など、台湾に先んじる「皇民化」を示していた。そのため、枢密院審議に際し、この点に関する質疑がなされたりしたが、両者は同時に部分改正され、国民学校制度が実施された。ただし、4年制の国民学校がもうけられたり(朝鮮)、3種類の課程表が作られる(台湾)など、日本国内と同一の学校制度が施行されたわけではない。 続く1943年には中等学校令制定に伴い、両教育令が同時に部分改正された。また両地において義務教育制度の実施が呼号されるなど、両者の間には共通性と差異をみることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去3年の補助期間の間、史料等の整備をそれなりに進めてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
11.に記したこれまでの研究成果を元に、最終年度としてのまとめを行なう。
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