2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530816
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Research Institution | Tokai University Junior College |
Principal Investigator |
山本 康治 東海大学短期大学部, 教授 (10341934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 公美子 (北川 公美子) 東海大学短期大学部, 准教授 (00299976)
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Keywords | 教育史 / 小学校国語教育 / 明治期 / ヘルバルト / 文学 / 幼児教育 / 童話 / 談話 |
Research Abstract |
本研究は、明治三十年代から四十年代にかけて、「国語科」における文学教材の導入過程を、美的経験による品性の陶冶を目指した「ヘルバルト派教育学」との関わりから明らかにし、そのようにして成立・展開した明治期国語教育(就学前教育も含む)が国民意識の形成に与えた影響について検証することを目的としている。本年度は以下の系列A、系列B、および系列Cについて研究を推進した。 ヘルバルト派教育学の受容と展開に関する研究(系列A)については、昨年度に引き続き、同教育学受容のプロセスについて、その導入が積極的に進められた北海道教育界を中心に実地調査を行い、同教育学が、札幌師範学校および北海道教育会によって積極的に推進・展開されていった様相を明らかにした。就学前の幼児期言語教育では、同教育学ではなく、フレーベルの教育思想が用いられていたが、そこにおいても同教育学同様に、童話・談話によって、美的感性や品性の陶冶を目指すという方向性が見られることを明らかにした。国語教育の成立と展開に関する研究(系列B)については、「国語科」成立の中心を担った沢柳政太郎の教育観にヘルバルト派教育学が色濃く反映していることを捉え、「国語科」成立の原点に同教育学の直截な影響が見られることを明らかにした。また、就学前の子供に対する言語教育観に関しては、一次文献の収集を行った。明治の言語文化に関する研究(系列C)では、「美文」に対する青年の嗜好、戦争が子供に与えた影響について調査を行い、一次文献を収集し、さらに先行研究について取り纏めを行った。
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