Research Abstract |
Fr.フレーベルの創作的なかつ実践的な活動としての「教具(遊具・作業具を含む)」を未刊行資料が収集されているベルリンの「陶冶史研究図書館(BBF:Bibliothek fuer bildungsgeschichtliche Forschung)」保管の通称BN資料,並びに,「ベルリン国立図書館(Staatbibliothek zu Berlin)」所有の通称KN資料の調査,収集,解読を行い資料的側面からフレーベル教具論の体系的考察をおこなった。特に,本年は,BN資料中,Mappe(箱)54から101までの「教具」に関するオリジナル資料の吟味と重要資料の収集を行い,また,ベルリンの国立図書館では,Nachlass(遺稿186;K.56/57)を中心にフレーベルの1840年代の書簡54通を吟味・考察し,フレーベル遊具論の端緒を考察した。本考察からは,KN資料に関しては,特に,「教具」に関する,重要な新たな「資料」は存在しないことが判明した。むしろ,「運動遊戯」や「作業具」に関するオリジナル資料については,1830年代のスイスでのフレーベルの活動から推察されるので今後,スイスのベルン古文書館での調査が必要と判断される(M.ソエタールアンジェ大学教授の示唆から)。 尚,本年前半では,すでに印刷・刊行されているフレーベルの「教具(遊具・作業具を含む)」文献の考察を行い,明治期以来,我が国で流布して来た,フレーベル「恩物(Gabe)」の受容の「誤り」をただすべく,学会報告をおこない,併せて,「新しい資料の解読によるフレーベル「教育遊具」の体系的考察-資料批判と今日的課題-」のタイトルで論文を発表し,現時点での「フレーベル遊具」の体系化の方向性をフレーベルの乳児期/幼児期/児童期の発達段階に即応して考案されていること,ならびに,各段階において,遊具(恩物を含む),作業具,運動遊戯等が考えられていた点を解明した。
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