Research Abstract |
・海外調査については,22年度米国(9月)および台湾(12月),23年度中国(5月)の調査を行った。 ・米国では,研究分担者の倉元直樹准教授が,ニューヨーク州立大学機構アルバニー大学大学院学生本田寛輔氏の協力を得て,ニューヨーク州の4大学(アルバニー州立大学,レンセラー工科大学,セージ大学,エンパイア州立大学)および試験機関であるETSを訪問し,米国の大学院入試の現状について情報を収集した。米国の大学院は段階と同様大衆化が進み,また同時に研究中心,職業志向など機能分化が進んでいる。研究科が行う選抜方法は大学院の機能によって多様である。一般に学部成績,小論文,推薦状,学外の共通試験であるGREなどをもとに行うが,研究型大学院では博士課程進学までをにらんで学力・資質を厳しく判定している。しかし,全国および州単位の統一された選抜方法や基準,試験の適用といったものはない。 ・台湾では,研究代表者石井が,本学教育学研究科学生申育誠氏の協力を得て,教育部および4大学(台湾大学,台湾師範大学,東呉大学,淡江大学)を訪問調査した。台湾の大学院入試は,学部のような全域共通試験はないが,その実施方法や判定に際し,政府が共通の枠組みを設けている。近年大学院が普及し,我が国を上回る規模をもつようになっているが,これに伴って入試も書類審査と面接を取り入れた特別選抜入試を導入するなど多様化しているが,筆記試験の最低ライン設定や大学成績による出願要件設定,筆記試験科目の多さなど学力や幅広い能力を担保する仕組みがある。政府や大学(全学)の積極的な関与や志願者の多さ(合格率10~35%)などがその背景にあると思われる。 ・中国では,中国科学院上海珪酸塩研究所および清華大学を訪問した。(1)統一入試の1次試験と個別の2次試験の組み合わせ,(2)推薦による1試験免除と早期の2次試験という入試のほか,サマーキャンプによる一種の推薦入試普及が判明,(2)のサマーキャンプの実態詳細が次の課題となった。
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