2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530820
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石井 光夫 東北大学, 高等教育開発推進センター, 教授 (30375175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 敏明 東北大学, 高等教育開発推進センター, 教授 (20146111)
倉元 直樹 東北大学, 高等教育開発推進センター, 准教授 (60236172)
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Keywords | 教育学 / 大学院入試 / 一定の学力水準 / 幅広い能力 / 中国 / 共通試験 |
Research Abstract |
・本年度は,海外調査については中国の政府・大学・研究所を訪問,また国内調査については文部科学省および大学入試センターを訪問し,情報を収集。また前2年の研究成果を合わせ,報告書(123頁)をまとめた。 ・中国については,大学院入試における1次試験としての統一入試に関し,大学側に「試験対策のため専門分野の研究能力が育たない」との批判が一部にあるが,一般的には統一試験と大学・研究科ごとの2次試験(面接,筆記,語学等)の組み合わせによる選抜に対する評価はおおむね各大学肯定的。このほか,成績上位者獲得を狙う推薦入試の広がりとともに,その一種としての学部新4年生に対するサマーキャンプが普及。上海交通大学では5000人が参加,その1割を(1)推薦資格を得られれば即合格,(2)得られなければ通常の選抜で優遇,優秀学生の青田買いが目立ってきている。 ・国内調査については,文部科学省大学振興課の担当者に大学院政策および入試の歴史と現状を聴取。学部入試と同様「入学者選抜実施要項」を通知してきたが,きわめて簡潔な要項を昭和40年以降4度しか作成せず,大学の裁量に委ねるという政策方針。入試改革は博士課程後期進学者へのQualifying Exam.の導入に伴う廃止以外は計画されず,大学院の質の保証政策は課程制教育の実質化などが重点。 ・ただし,入試共通試験の唯一の例として実施されている法科大学院適性試験については,大学入試センターの研究によれば,適性試験が入学後の成績や司法試験合格にある程度の予測可能性を示すことが立証され,共通試験の一つの意義と可能性を示唆している。 ・3年間の調査研究をまとめた報告書では,総論において,(1)拡大・多様化に伴う大学院の機能分化に対応する入試の必要性とともに,(2)共通試験の可能性の検討,その際の(3)政府の関与や(4)大学における入試体制の強化などを指摘した。
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