2011 Fiscal Year Annual Research Report
大学における産学連携の成長要因と大学の変容に関する研究
Project/Area Number |
21530822
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
新谷 由紀子 筑波大学, 産学リエゾン共同研究センター, 准教授 (40333281)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊本 虔 筑波大学, 名誉教授 (50284229)
|
Keywords | 産学連携 / 大学の変容 / 基礎研究 / 応用研究 / 教育 / 研究 / 評価 / 大学運営 |
Research Abstract |
平成23年度は、大学の研究、教育及び運営を含めた大学全体に対して、産学連携がどのような影響を及ぼしてきたかを総合的に把握するために、大学においてこれらの活動を実際に担ってきた教員に対するアンケート調査を行い、それらを数量化することにより、明らかにしたいと考え、調査研究を実施した。 その結果、.産学連携が教育及び運営を含めた大学全体に対して及ぼした影響はプラスの評価となった。産学連携によって、学生が、企業や社会のニーズに直接触れることができること、また、教育の内容が多彩になり、教育の質が向上したことなどがプラスとして評価された。反面、学生の研究成果の発表に対する制約や、学生が大学発ベンチャーに時間を取られ本来の教育が疎かになり、じっくり時間をかけて研究課題に取組ませることが難しくなったことがマイナスに評価された。 産学連携が研究に及ぼした影響については、回答のあった教員全体では僅かにマイナスの評価となった。回答者のうち、産学連携の経験のない教員の回答は13%であったので、これらを除外して集計すると、研究に関してプラスの評価が得られた。マイナスの要因の主なものは、基礎研究や長期的研究の軽視や発表に対する制約などであった。プラスの要因の主なものは、研究資金の増大や研究テーマの発掘が容易になったことなどであった。また、産学連携の研究に対する影響をプラスに捉えた教員に対して、基礎研究との関係を質問したところ、かなり多くの者が、産学連携のような課題解決型の研究により、基礎研究に立ち戻ったり、基礎研究に関する新たな知見が得られたりしたと答えていることは注目に値する。すなわち、本研究により、産学連携と基礎研究は常に対立する概念ではなく、産学連携が基礎研究の促進につながる場合のあることが示唆されたのである。
|
Research Products
(7 results)