2009 Fiscal Year Annual Research Report
フランスにおける地方教育行政当局のアカウンタビリティシステム再構築に関する研究
Project/Area Number |
21530826
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
藤井 佐知子 Utsunomiya University, 教育学部, 教授 (50186722)
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Keywords | フランス教育 / 学校自治 / 地方教育行政 / アカウンタビリティ / 業績管理 |
Research Abstract |
初年度の今年は、次の3点について研究を進めた。 1.学校自治に関する理論的総括と予算組織法(LOLF)の影響 まず、学校自治の理論について文献調査を進め、特に諸外国のそれとの間でどのような相違があるかについて整理・検討を行った。その結果、フランスの学校自治は、国家目標達成手段に位置付けられていること、そして英米諸国と異なり<共同決定>ないしは<民主的決定>の思想を含んでいないこと、さらには教師の自治と分離されていることを明らかにし、これらについての関係論文を解読した。また、2001年の「予算組織法」成立以後は、目標・成果管理の手法導入を契機として教師集団の専門性と共同体制でこれを進めていく路線が定められたことを政策分析により導き出した。この結果、学校自治は、成果についての責任という新たな理論を内包する新しいフレームワー^ク下に置かれたことを明らかにした。 2.新しい学校ガバナンスに関する諸見解の整理 新たなステージに入った学校自治の実質化に向けて、従来の教育行政構造の組み換えを提起する議論が様々に起こっていることに注目し、それらの論議を分析整理した。その結果、論点として、1)校長への新しい役割期待、2)地方教育行政当局との新たな関係構築、の二点が中心となっており、各々の政策動向と論議を明らかにした。 3.以上の研究について、フランス国民教育省評価開発予測局のF。ウブラール氏から研究レビューを受け、次年度の研究枠組みについて検討した。ここから次年度は、大学区(academie)の実態調査を実施する計画を立てた。
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