2010 Fiscal Year Annual Research Report
フランスにおける地方教育行政当局のアカウンタビリティシステム再構築に関する研究
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21530826
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
藤井 佐知子 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (50186722)
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Keywords | フランス教育 / 学校評価 / 地方教育行政 / アカウンタビリティ / スコットランド教育 |
Research Abstract |
本年度は、次の2点について研究を進めた。 1.新しい学校ガバナンスに関する論点整理と実態解明 新たなステージに入った学校自治の実質化に向けて、パフォーマンス向上と学校の責任(アカウンタビリティ)強化を要請する学校ガバナンスの形成をめぐる議論が様々に起こっていることに注目し、それらの論議を多角的に分析整理した。そしてそこでの重要な論点となっている校長への新しい役割期待、ならびに地方教育行政当局との新たな関係構築、の二点について政策動向と論議を明らかにした。次いで、後者の具体策としてフィヨン法で導入された地方教育行政当局(大学区)と学校との間で締結される「目標契約」に基づく実践事例をインターネット検索により入手し、分析を行った。 2.新しい学校ガバナンスで重要な位置を占める学校評価に関して、学校・教師の専門性・自律性と教育行政当局のアカウンタビリティの相互関係という視点から国際比較を行った。また、EUのEurydice(ヨーロッパ教育情報センター)の調査研究を基にヨーロッパ諸国の学校評価制度の類型化を行った上で、NPM理論に依拠する「英国・ニュージーランド型」とは異なる類型に属するフランスが、近年スコットランドのシステムから学ぼうとしている点に注目して両国の学校評価制度の検討を行った。反市場主義という共通のベースを持ち、学校の主体性と教育行政当局(視学inspection)のアカウンタビリティを要請して教育全体の質向上を図ろうとする両国の改革プロセスと意義を明らかにし、日本への示唆を得た。
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