2011 Fiscal Year Annual Research Report
教育者養成プログラムの観点からの人権基盤教育学の構築とその国際的検討
Project/Area Number |
21530838
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
生田 周二 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (00212746)
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Keywords | 人権基盤教育学 / 教育者養成 / 人権教育 / 自立支援 / シティズンシップ教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は、教育者養成の視点を中心に、人権基盤教育(学)(Theory of the humman rights based education/pedagogy)の概念と構造の構築とその国際的検討にある。 本年度は、(1)人権基盤教育学の内容・方法論の整理・分析、(2)欧州と国連を中心とする人権基盤教育学の可能性とその理論と動向の分析の整理、(3)人権基盤教育の観点からの教育者養成プログラムの整理、(4)人権基盤教育学の近接領域との相関の分析の整理を通して、次の方向性を確認した。 第一に、人権基盤教育を発展させ、子ども・若者の自立支援(青少年支援)という教育の喫緊の課題に資する人権基盤・シティズンシップ教育(human rights based and citizenship education)の必要性である。人権基盤教育の4側面から「自立の4側面」(能力開発、ID(アイデンティティ)確立、社会性・寛容性形成、参画・意見表明)の重要性を指摘できる。 第二に、人権基盤・シティズンシップ教育の考え方が、「自立の4側面」に即した青少年の現状分析と自立を支援するシステムの一環としての教育者養成、とりわけ「子ども・若者支援士」〔仮称〕の専門職化をめざす理論的枠組みとなりえる点である。この点は、ドイツの青少年援助研究成果から多くの問題提起を受けた。 第三に、この新しい方向性は、現状の人権教育やシティズンシップ教育が、人権理解や市民性の涵養という認知とその活用レベルの議論を中心としている問題点を克服することに資するものである。また、不登校・引きこもり問題など自立に関わる諸取り組みとの連携により深められるべき課題でもある。 以上、本研究の終了後も発展しうる内容となった。
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Research Products
(5 results)