2009 Fiscal Year Annual Research Report
三位一体改革後の高校職業教育行財政の設置者負担主義と国庫補助の関係に関する研究
Project/Area Number |
21530839
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
佐藤 史人 Wakayama University, 教育学部, 教授 (80324375)
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Keywords | 職業教育 / 教育行財政 / 地方分権 / 三位一体の改革 / 教育条件整備 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高校職業教育の教育費の都道府県別の実態を調査することを通して、各県の行財政モデルの特徴を分析・検討し、更に「三位一体の改革」による地方分権化時代における教育行財政制度のあり方を解明することであった。実際の調査では、和歌山県・鹿児島県・東京都・愛知県などを対象とし、高校職業教育費のうち設備、施設の実態が明らかになった。調査結果によれば、三位一体の改革後は各自治体の判断・裁量によって独自の高校職業教育費の予算化・執行が行われるようになってはいいるが、従来の国庫補助の時期と運用方法や予算額などはあまり変化してはいない、という事実が判明した。 限られた調査対象の実態からは、国庫補助から交付金への移行により各自治体の教育費などの行財政制度は、その規模や重点化など独自のシステムが構築されうる基盤ができつつあり、その一方で、地方分権が充分進んでいるとはいえず、産業教育振興法改正後も従来の補助方式を踏襲しており、各自治体の独自の制度が生み出されるまでには未だ至っていない状況であると考察される。「三位一体の改革」の趣旨は地方分権の推進であり、地方自治の基盤のひとつである財源は交付金によって保障し、その実施は地方自治体の責任によるものとされた。この趣旨に照らして考えれば、地方における職業教育行財政はそれぞれの事情や要求等に応じて、独自の理念や方針が必要であろうし、それを具現化するシステムが必要となる。しかし、和歌山県の事例に見たように、現状では制度改革後も従前の仕組みを継承しているに過ぎず、独自の行財政が実現できているとはいえず、今後の各自治体の動向に注目し、他の自治体についても調査する必要性が明確になった。
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Research Products
(4 results)