2011 Fiscal Year Annual Research Report
三位一体改革後の高校職業教育行財政の設置者負担主義と国庫補助の関係に関する研究
Project/Area Number |
21530839
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
佐藤 史人 和歌山大学, 教育学部, 教授 (80324375)
|
Keywords | 職業教育 / 教育行財政 / 地方分権 / 三位一体の改革 / 教育条件整備 |
Research Abstract |
最終年度のである本年度は、高校職業教育の教育費の都道府県別のこれまでの実態調査を再検証し、不足・不明部分については追加的に調査を行った。その結果を総括し、各地方自治体の行財政モデルの特徴を分析・検討した。その特徴を端的にまとめれば、以下の4点が指摘できる。 第一に、三位一体の改革は産業教育振興法を改正し、戦後の高校職業教育行財政制度の抜本的な改革を断行した。 第二に、この改革は地方自治体の裁量権を発揮できる可能性を持ち、その意味では地方分権化を推進するひとつの具体的な取り組みとなっている。その一方で、職業教育費の削減や他の費目への転用も自治体の判断によって行えるために、職業教育費としての財源が減少する可能性も同時に持ち合わせることとなった。 第三に、実際に調査した都府県においては、改革前の予算規模・事業内容が継承されており、劇的な変化は見られなかった。調査によって明らかになった事から見れば、これは当該自治体において今回の改革の趣旨及びその実際的な運用について理解が進んでおらず、実際の制度変更にまで至らなかったとみられる。 第四に、職業教育は実験・実習を不可欠な要素として持っており、その実施には教育条件整備は重要な課題である。この点から鑑みれば、国及び地方財政のいずれかにおいて財源を確保することが今後の職業教育にとって重要であることが明らかになった。 以上の成果に基づき、高校職業教育の行財政制度の特徴について今後も更に分析・検討を行う。
|
Research Products
(4 results)