2011 Fiscal Year Annual Research Report
教員人事・評価制度の運用実態とその改善方策に関する比較実証研究
Project/Area Number |
21530841
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
古賀 一博 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (70170214)
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Keywords | 教員人事 / 教員評価 / 教育行政 / 学校経営 |
Research Abstract |
本年度は、研究最終度にあたり、全国の教員評価の制度的現状と運用実態を把握することに努めた。収集したデータの一部は、本年度及び来年度の学会誌に掲載及び掲載予定である。 研究成果の一部としては、裏面に記載の論考があげられるが、その結論要旨は、以下の通りである。本研究は、我が国の各都道府県において展開されている教員評価制度の運用実態をつぶさに調査し、その異同を明らかにするとともに、それぞれの特徴を析出し、理想的な教員評価制度の有様を検討しようとしたものである。 研究の結果、我が国の教員評価制度は、各地方自治体による差はあるものの、基本的には教員の能力開発を企図したものであることが明らかとなった。また、「自己評価」と「実績評価」の関連付けが困難なことや中間期の「申告」「面談」が十分に保障されていない点などの課題も明らかとなった。さらに、一部の県では、「実績評価」において「相対評価(校内)」が活用されていた点もあげられる。学校内で「相対評価」を活用することは、教職員の競争心を必要以上に煽る危険性がありはしないだろうか。第四に、2次評価者に対する評価決定権限が大きい点も指摘できる。1次評価者と2次評価者の評価結果を同等に扱う自治体は11府県あるものの、多くの自治体では2次評価者が最終的な教職員の評価を決定することができるわけである。加えて、評価の正当性に対する問題が残る中、一部の自治体ではすでに評価結果を報酬へ結び付けていた点があげられよう。今後、評価結果の給与への反映を進めていくならば、評価者の評価能力を確保し、公正な評価を提供することが求められる。
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