2009 Fiscal Year Annual Research Report
「学習する組織」を創造する校長のリーダーシップに関する研究
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21530842
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
曽余田 浩史 Hiroshima University, 大学院・教育学研究科, 准教授 (60253043)
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Keywords | 学習する組織 / 校長 / リーダーシップ |
Research Abstract |
本研究の目的は、わが国の公立小・中学校を対象として、「学習する組織」を創造する校長のリーダーシップの在り様を明らかにすることである。そのために本年度は、先行研究のレビューと本研究の視点・枠組みの理論的な明確化を次のようにおこなった。 1、 「学習する組織」の唱道者であるP.センゲの基本的視点を確認した。センゲの論は、これまで5つのディシプリン(システム思考、自己マスタリー、メンタルモデル、共有ビジョン、チーム学習)を中心に紹介されてきたが、その前提となる組織観や変化観のほうが重要である。すなわち、機械的な思考にもとづくコントロール志向の組織変革ではなく、「生きたシステム」観を前提とするシステム思考にもとづく学習志向(学習能力の構築)の組織変革へという視点である。また、学習する組織への成長・成熟をとらえるために、拡張循環の活性化と平衡循環への対処という視点が重要であることを確認した。 2、 学校を対象として「学習する組織」がどのように議論されているかを整理・検討した。近年の欧米の学校経営研究では、「学習する組織」や「実践コミュニティ」の知見を教育学の研究成果を踏まえながら応用する文献が見られるようになっており、カナダの教育経営学者K.Leithwoodをはじめ、学校を「専門的な学習共同体(professional learning community)」と理解する議論が台頭しつつある。そのなかで、平等性・自律性・孤立性の規範、実用主義の倫理、オーラルコミュニケーションの伝統という学習障害となる学校文化を変革し、「専門的な学習共同体」としての学校を創造する校長の変革型リーダーシップの視点が注目に値する。
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Research Products
(2 results)