2011 Fiscal Year Annual Research Report
「学習する組織」を創造する校長のリーダーシップに関する研究
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21530842
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
曽余田 浩史 広島大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (60253043)
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Keywords | 学習する組織 / 校長 / リーダーシップ / 指導的評価活動 |
Research Abstract |
本年度は、「学習する組織」を創造する校長のリーダーシップの有り様を明らかにすることを目的として、文献研究と事例調査(3事例)を実施した。 (1)事例調査によると、「学習する組織」を志向する校長のリーダーシップは「総合力」を意識した組織づくりと「教職員の成長の種を植える」という点に特徴があった。とくに後者については、たとえば短期的な視点で生徒指導に固執する教職員(集団)に対し、、「授業で力を高める学校,研究ができる学校にしたい」という展望を教職員に伝えながら、「人は自分で育つ」という考えに立って「教職員一人一人の寄って立つところ」を育てていた。 (2)「学習する組織」の代表的論者であるセンゲの理論的枠組みによれば、学校の「現状」と相対峙した学校の「ビジョン」とのギャップが創造的な変革の推進力である。しかし、事例調査によると、「学習する組織」を志向する校長は学校の「現状」の中に「ビジョン」を見出し、変革の推進力にしていた。 (3)「学習する組織」を志向する校長は、学校のビジョンの体現に向けた個人や集団のわずかな前進の事実を発見し、そこを刻々に評価し価値づけする「指導的評価活動」を積極的に行なっていた。これは、学校のどこを見るべきか、何が価値あることかを教職員集団に自覚化させ、最終的に自己指導力を育てあげることをねらっている。「学習する組織」を創造する校長の能力(コンピテンシー)として、学校の現状の中に核となる価値を見出し、指導的評価活動を行なえることが一つの鍵だと考えられる。
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Research Products
(6 results)