2009 Fiscal Year Annual Research Report
社会的に排除されたホームレスの自立支援における社会関係資本の構築に関する研究
Project/Area Number |
21530845
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野依 智子 Kyushu University, 大学院・人間環境学研究院, 学術協力研究員 (40467882)
|
Keywords | 社会的排除 / ホームレス / 自立支援 / 社会関係資本 / 労働と家族 / 社会教育 / 社会学 / 家族関係 |
Research Abstract |
本研究の目的は、社会的に排除されたホームレスの自立支援における「生」を支える社会関係資本の構築について考察し、そのモデルを提示することである。そのための分析視点として、職歴と家族関係に着目した。なぜなら、これまでのホームレス調査から、失業による生活基盤の喪失と自己有用感の喪失が家族関係の喪失と密接に関連していること、さらには、日雇いや派遣労働など不安定な就労のために家族をも持ちえない層が確実に増加していることが明らかだからである。 したがって、平成21年度は以下の調査研究を行った。 (1) 名古屋調査を実施し、聞き取りデータのまとめとして報告書を作成した。 (1) 平成21年7月9-10日に予備調査、8月17-21日に本調査として25名(男性20名、女性5名、30代から70代の野宿者、生保受給者、就労自立者)の聞き取り調査を実施した。 (2) 結果、中卒の集団就職者や炭鉱離職者家族のその後、バブル崩壊後の労働状況、派遣労働の実態など、産業構造の変化の中に彼/彼女らの職歴と家族関係を位置づける中で、家族の脆弱性が明らかとなった。 (2) 仙台調査を実施した。 (1) 平成21年7月22-24日に予備調査、平成22年3月4-7日に本調査として17名(男性17名、30代から60代の野宿者、生保受給者、就労自立者)の聞き取り調査を実施した。 (2) 農業従事者の変遷を追いたかったが、農業従事者はほとんどいなかった。多くが30代・40代の「派遣切り」による野宿化で、就労問題が深刻であった。 (3) 平成22年度は、名古屋・仙台との比較分析のため、北九州/石炭産業の調査を予定している。
|