2011 Fiscal Year Annual Research Report
小学校における学級経営支援・評価システムの構築に関する開発的研究
Project/Area Number |
21530859
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Research Institution | International Pacific University |
Principal Investigator |
中田 正浩 環太平洋大学, 次世代教育学部, 教授 (10461261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 律 環太平洋大学, 次世代教育学部, 講師 (60454857)
山崎 瞳 佛教大学, 教育学部, 非常勤講師 (80454859)
小島 喜孝 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (50142766)
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Keywords | 学級経営 / ピアサポート / 地域連携 |
Research Abstract |
本研究は、近年の学級が学級崩壊,授業崩壊,いじめや不登校など,様々な問題が集積される場としての側面を持っていると捉えるところからスタートした。その際、クレームを付ける保護者の増加などの著しい情況変化の中で,保護者とのコミュニケーションに自信を失い,心身に支障を来たして教壇を去る教員や,新任教員が悩んだ末に自殺するといった事態にみられるような、学級経営の構造的脆弱性に着目し、担任教員を孤立させないサポートシステムづくりが必要であると考えるに至った。 次にそれを実現すべく,岡山県内および大阪府堺市内の2つの小学校と提携したアクション・リサーチを展開し,(1)学校・地域・保護者の連携による拡大ピアサポート型の学級経営支援体制の構築および,(2)学級経営に資する学習・生活環境の整備や教育方法の特定,また(3)学校・教員ら自らが,学級経営の課題や成果を明確にできる評価基準を作成し,これら3側面の融合による「学級経営支援システム」の構築を目的に研究を進めてきた。 研究目的を踏まえたこれまでの到達点は以下の通りである。まず上記(1)については、教員および管理職への調査から、ピアサポート型の支援体制を構築するには、学校内への地域人材のさらなる導入によるラポールの形成および、教員の労務軽減によるゆとりの創出が必要である、ということが明らかになった。 また(2)については(1)とも関連し合っており、人間関係の形成とゆとり創出に加え、保護者の家庭における教育的働きかけを積極的に促すことが効果的であるということが判明した。 (3)については、個々の状況やニーズを吸収可能な、柔軟かつ簡潔な評価指標(特に人間関係の維持・形成)に焦点化した基準づくりが現実的な意義を持ち得るということが明らかになって来た。 具体的な成果については、現時点でなお鋭意努力を継続している所である。 なお、加えて本研究では、派生的に明らかとなった教育現場の諸問題についても取り組み、その成果は分担者浅田の"ネットいじめ"に関する業績などに結実している。また分担者小島は本研究の知見を学部の教育実習に還元し、さらに分担者松岡は学級経営の妨げになりがちな非行の問題について論を深めるなど、当初の見込みより広範囲に亘る研究枠組みとなった。 こうした研究テーマの展開という点においても、十分に意義深い研究となったと考える。
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Research Products
(5 results)