2010 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本の教員処分をめぐる総合的研究(2)-教育公務員の分限処分を中心にして
Project/Area Number |
21530860
|
Research Institution | Shikoku Gakuin University |
Principal Investigator |
元井 一郎 四国学院大学, 文学部, 教授 (90239575)
|
Keywords | 教員処分 / 教育公務員 / 公務員制度 / 教育委員会制度 / 特別権力関係論 / 地方教育行政制度 / 分限処分 / 教育政策 |
Research Abstract |
平成22年度における本研究は、初年度(平成21年度)において実施したインタビュー調査等を前提に、1950年代における教員処分の構造分析を主要に行った。研究過程において、教員処分における1950年代の特徴として、サンフランシスコ講和条約発効および占領状態の解除という政治状況と、地方教育行政制度の改定、具体的には「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の制定(1956年)、さらには、義務標準法(公立義務諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律)の制定(1958年)などが教員処分に大きく影響したことが確認できた。 本研究の第二年度は、上記した1950年代における教育行政制度の転換と教員処分の関わりを基軸に実証的な検討を試み、1950年代中期以降に実施される公立学校教員の勤務評定実施までの制度及び実態解明を中心的な課題として調査研究を行った。 その成果は、日本教育行政学会第45回大会(2010年10月3日開催)にて自由研究発表(「戦後公教育と教員処分体制(1)-1950年代の教員処分の実体と構成」として報告した。本報告では、戦後教員処分体制の構築において旧内務省出身官僚の影響と、文部省出身官僚による構想がある部分では相反しつつ、結果として戦後公教育における教員処分の枠組みをこの時期に完成させたという仮説を実証したと考えている。 最終年度の研究においては、さらに1960年代を迎える時期における教員処分構成に関して、さらなる史実の調査と整理を行っていこうと考えている。とりわけ、勤評反対闘争と教員処分の構造をより詳細に検討することを最終的な課題としていきたいと考えている。
|