Research Abstract |
本研究の目的は,幼児及び小学校低学年児童の心身の健康状態に関する総合的な尺度を試作し,睡眠・運動・食事などの基本的生活習慣との関連及びその経年変化について,縦断的に検討することである。平成21年度は,3歳児の健康状態に関する調査から,信頼性・妥当性の検討を経て,睡眠リズムや基本的生活習慣の形成が進むと考えられる幼児前期の健康尺度の作成を行うことが,第一の目的である。調査は,平成20年10月から順次実施し,A市内保健所の3歳児健診案内時に,調査の依頼・同意文書を同封・郵送し,約1,600名の有効な回答を得ることができた。 調査内容から,心身の健康状態に関する質問項目について因子分析(主因子法・promax回転)を実施した結果,今後より詳細な検討は必要であるが,固有値の高い順に,「情緒の安定」「集中の困難」「倦怠感」などに関する合計10項目で構成される3つの因子が抽出された。これらの結果は,2歳児の調査で実施した結果と類似した。 抽出された項目から健康得点として加算集計し,3群に分類して生活状況との関連を分析したところ,健康状態が良いと考えられる幼児のグループが早寝であり,適切な睡眠を確保することができる生育環境を有することが明らかであること,平日のTV視聴時間が短く,望ましい生活習慣を形成していることが明らかとなった(未発表)。今後さらに,睡眠の質,食生活,身体活動等,多様な視点から健康的な生活に向けて必要な項目の分析を行っていく予定である。また,平成22年度は,縦断的調査の2回目として,5歳児を対象とした質問紙調査を行う予定であり,現在,年齢に応じた調査内容の改変と調査計画の作成を進めている。さらに,研究内容の発表や得られた知見のフィードバックを行うための検討を行っている。
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