Research Abstract |
本研究の目的は,幼児及び小学校低学年児童の心身の健康状態に関する総合的な尺度を試作し,睡眠・運動・食事などの基本的生活習慣との関連及びその経年変化について縦断的に検討することである。平成23年度の計画は,平成22年度に実施した第2次調査(5歳児)の結果から,健康尺度の信頼性・妥当性の検討を経て,幼児期後期の健康尺度の試案を作成すること,また,睡眠・運動・食事などの状況から,各要因の上位群・中間群・下位群を分類し,健康状態との関連を検討することであった。しかし,時間的な制約を考慮し,前年度からの継続課題であった第1次調査(3歳児,約1500名)の結果分析と学会誌投稿を優先させた。 健康状態に関する尺度に関して,因子分析の結果,「情緒の安定」,「落ち着きのなさ」,「眠気と身体疲労」,「運動遊びへの指向と社会性」,「睡眠と食のリズム」,「睡眠の質」と解釈できる6因子22項目からなる尺度構成となり,累積寄与率は,54.4%,信頼性については,全体ではα=.772であった。次に,尺度得点と睡眠状況との関連を検討した結果,睡眠時間,.就床時刻,起床時刻,就床及び起床時刻め規則性,入眠潜時,中途覚醒の有無の何れの項目においても,高得点群が有意に良好であった。さらに,午後9時台までに就寝する幼児が午後10時以降に就寝する幼児よりも,尺度得点が有意に高くなった。 3歳児の健康状態と関連する因子として,精神的な安定や集中,眠気やだるさの少ない状態,身体を動かす欲求の高さ,睡眠と食に関する一定のリズム,深い睡眠と関連する状態が考えられ,各々の要素は健康的な生活を送るために重要であると推察された。また,この時期の睡眠習慣としては,午後9時頃には就床し,午前7時台には起床して,夜間の睡眠時間を10時間以上確保することが望ましいことが示唆された。 今後,第2次調査で得られた資料から,5歳児の健康尺度の作成と生活習慣との関連の検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度の当初計画では,平成22年度に実施した第2次調査(5歳児)の結果から,健康尺度の信頼性・妥当性の検討を経て,幼児期後期の健康尺度の試案を作成すること,また,睡眠・運動・食事などの状況から,各要因の上位群・中間群・下位群を分類し,健康状態との関連を検討することであった。しかし,時間的な制約を考慮し,前年度からの継続課題であった第1次調査(3歳児,約1500名)の結果分析と学会誌投稿を優先させた。今年度前半には,第2次調査で得られた資料から,5歳児の健康尺度の作成と生活習慣との関連の検討を行う予定である。
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