2011 Fiscal Year Annual Research Report
デンマークにおけるフレックシキュリティ政策と過渡的労働市場の理念:生産学校の事例
Project/Area Number |
21530872
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
豊泉 周治 群馬大学, 教育学部, 教授 (90188813)
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Keywords | デンマーク生産学校 / フレックシキュリティ / 移行的労働市場 |
Research Abstract |
平成23年9月18日~10月2日にドイツ及びデンマーク調査を実施した。デンマーク生産学校の継続調査に加え,今年度は近年,デンマークにならって生産学校を急速に拡大しているドイツの生産学校についても調査を行った。ベルリン校外のヘルツベルク生産学校を訪問して活動の状況を視察したほか,幸運にも9月28日~30日に開催されたドイツ生産学校協会年次総会に出席する機会を与えられ,「生産学校システムの変容」をテーマとする同総会報告と各ワークショップに参加し,ドイツ生産学校の現状と課題について知ることができた。また,併行してドイツ生産学校協会の中心的指導者であるハノーバー大学のA・ボヤノフスキー教授,ハンブルグ市のC・ゲントナー博士にインタビューを行い,ドイツ生産学校の歴史やデンマーク生産学校との違いについて認識を深めることができた。一方,デンマークでは,デンマークを代表する生産学校として著名なコーソア生産学校とカルンボー生産学校を前年度に続いて訪問し,デンマーク生産学校の現状と意義について,とくに両校の学生へのインタビュー(合計7人)によって研究を深めた。 理論的な研究を深める点では,今回もデンマークのロスキレ大学教育学部,F・サマー准教授にインタビューを実施し,フレックシキュリティと過渡的労働市場(移行的労働市場)の概念について意見交換を行った。また,ドイツではベルリン社会科学研究所を訪問し,過渡的労働市場(移行的労働市場)の概念を提起したG・シュミット名誉教授にインタビューを行い,同概念のねらいとともにドイツ社会の現状と課題について,同氏の見解を直接に学ぶことができた。 以上の調査・研究の結果,デンマークにおけるフレックキュリティ政策とドイツにおける過渡的労働市場(移行的労働市場)の概念との密接な関係性,それを体現する制度の一つとして両国における生産学校の発展の意義が明らかになった。
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