2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本版トラッキングの国際比較研究ー教育における共生と社会的公正の考察
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21530873
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
恒吉 僚子 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (50236931)
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Keywords | 多文化共生 / トラッキング |
Research Abstract |
どのような家庭背景や属性等を持つ児童生徒がどのような教育の機会を持つかは、多くの国で教育の機会均等や文化的な多様性と社会的公正の問題として議論され、社会問題化してきた。こうしたテーマを扱ってきた一つの代表的領域が本研究で言うところの、教育上のライフチャンスに関わるプロセスとしての「トラッキング」(tracking)である。この場合のトラッキングは学校内格差と学校間格差の両者にまたがるものである。日本の社会学的トラッキング研究においては、高校入学時点で顕著な振り分けが行なわれる日本的教育制度の特徴を背景として、高校間格差を扱った実証研究、進路選択、学歴、階層等と絡められながらのマクロ的な(量的)研究の蓄積が豊富である。一方、アメリカを中心とした国際的な議論の中では、むしろよりミクロなレベルにおける教授法や選抜プロセス、学習等の教育実践に近い関心から、日本においては軽視されがちな、人種・民族的マイノリティ(とそこに絡む学力不振層)に代表されるマイノリティの権利を視野に入れた機会均等、社会的公正の問題としてトラッキングは社会問題化してきた。本研究においては、マイノリティ視点、文化的多様性への視点を組み込みながら、「日本版トラッキング」の特徴を浮き彫りにし、教育における文化的多様性と多文化共生、社会的公正をめぐる研究領域に貢献しようと考えるものである。また、日本の教育の社会化システムの特徴として、カリキュラムの中に人格形成教育(例 特別活動)を位置付けていることがあげられ、そうした特徴と、本研究のテーマについても、予備的に考察し、今後の研究における展開の基盤作りをした。
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Research Products
(4 results)