2009 Fiscal Year Annual Research Report
タイの基礎教育改革におけるナショナルテストの導入と成果に関する実証的研究
Project/Area Number |
21530875
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
森下 稔 Tokyo University of Marine Science and Technology, 海洋工学部, 准教授 (60300498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
カンピラパーブ スネート 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 講師 (90362219)
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Keywords | 教育学 / タイ地域研究 / 教育改革 / 学力調査 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究では、平成21年度はタイにおけるナショナルテスト(NT)の導入、組織体制の解明に以下の研究方法により取り組んだ。1.政策文書、新聞報道などの文献資料を収集整理し、データベースの構築に着手した。2.研究会を2回開催(5月、9月)し、研究代表者・研究分担者・連携研究者が個別にもつ情報を集約した。3.8月に平田利文(連携)が、タイにおける現地調査を実施し、政策策定の経緯および学校での状況の基本情報を収集した。さらに、2月に実施された初等6年・中等3年レベルのNT(国家教育試験機構が実施する0-NET)の実施状況を、森下・スネート・鈴木康郎(連携)が現地の学校において観察調査した。4.以上の研究を基に、11月九州教育学会においてNT導入に関する成果発表を行った。その成果として、(1)NT導入は、教育行政の地方分権とカリキュラム改革から必然的にその必要性が生まれたこと、(2)NTは、学校を基盤とするカリキュラム開発のPDCAサイクルの一環として位置づけられ、学校のカリキュラム改善を目的とした制度導入であったこと、(3)基礎教育段階修了時(中等6年)のテストが、基礎教育カリキュラム告示当時から変遷して、大学入学者選抜制度に組み込まれたこと、(4)国家教育試験機構の設置による試験実施体制の整備が行われたことが明らかとなった。また、NT導入の成果として、タイ児童生徒の試験正答率平均が50%を下回る学力水準の低さ、および年々低下傾向にあることがタイ政府によって認識されるところとなり、学力向上のための諸施策の検討が始まっていることが明らかとなった。なお、観察調査のデータについては次年度にかけて解析をすすめており、平成22年6月の日本比較教育学会でその成果を公表する予定である。
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Research Products
(7 results)