2011 Fiscal Year Annual Research Report
タイの基礎教育改革におけるナショナルテストの導入と成果に関する実証的研究
Project/Area Number |
21530875
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
森下 稔 東京海洋大学, 海洋工学部, 准教授 (60300498)
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Keywords | 教育学 / タイ / 教育改革 / 学力調査 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
本研究では、平成23年度において、タイにおけるナショナルテスト(NT)導入の成果として、カリキュラムの改善にどのようにして生かされているか、NTが児童生徒の学習に与える影響はどのようなものかを解明するために、平成22年度に開発し、翻訳、印刷、郵送の作業を終えていたアンケート調査の回収、集計を行った。このアンケート結果について、11月に海外共同研究者をタイから日本に招聘し、連携研究者とともに検討会議を開催して詳細に分析した。さらに、3月には代表者が訪タイして現地有識者の意見を聴取した。この成果の一部を12月に九州教育学会において発表した。 このアンケートは、タイ全国の初等中等学校の教員を対象として、NT導入が各学校のカリキュラム開発におけるPDCAサイクルに活用されているかどうか、児童生徒の学習にどのような効果や影響を与えているかを問うものである。ただし、複数ある試験種別のうち悉皆試験のO-NET試験に限ることとした。調査は郵送法により、720部を配布したうち345部の回答を得た。分析の結果、児童生徒の学習に与える影響については、児童生徒の学習への影響では、モチベーションを高める場合とストレスに感じさせる場合があり、試験対策に取り組む傾向は全国的ではないことが明らかとなった。学校カリキュラムの改善については、試験結果が活用されている傾向が明らかとなった。O-NET試験そのものには肯定的な意見が多いものの、実施の時期や方法や問題内容などに関する批判的な意見も一部に見られた。学校マネジメントへの影響では、点数目標を年度計画に掲げたり、特別クラスや対策授業を行ったりする例が多数見られた。今後の課題として、学校カリキュラム改善にどのように生かされているのかの実態を解明することが指摘できる。
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Research Products
(6 results)