2010 Fiscal Year Annual Research Report
現代アメリカ合衆国における批判的ペダゴジーの最前線:ポストNCLBの理論と実践へ
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21530894
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
澤田 稔 上智大学, 総合人間科学部, 准教授 (00367690)
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Keywords | カリキュラム / 教育方法 / アメリカ / ポリティクス |
Research Abstract |
本研究は、現代米国における批判的ペダゴジー理論の再検討と、その実践的諸相を明らかにすることを目的としており、そこで得られる知見に基づいて、前ブッシュ政権のNCLB法による教育改革を受けて新たに展開されつつあるオバマ政権の教育改革動向を分析することを目的としている。 今年度進めた研究活動は、主として以下の4点に集約される。 第1に、合衆国教育省のA Blue print for Reformを、アメリカ教育学会の会員の協力を得て、その全文訳を監訳し、学会刊行物小冊子として自主出版した。これは、オバマ政権における教育政策動向の基本方針を初めて明示した政府刊行物であるだけに、今後の同国の教育改革の方向性に関する理解を深める上で必須の資料で、これを邦訳したことの意義は決して小さくない。 第2に、このオバマ政権による新たな教育改革方針を批判的に検討するために、同学会で開催された公開シンポジウムの機会を利用して「A Blue print for Reformをめぐる議論と批判」という題目で学会発表を行った。NCLB体制と比較した上で、批判的ペダゴジー論の近年の成果を踏まえた考察を展開するという先行研究にない作業を試みた。 第3に、こうした動向を整理するとともに、批判的ペダゴジーの専門論文を読み進めた。が、これは論文としてまだ発表できておらず、次年度にまとめる予定である。 第4に、NCLB体制化でも、進歩主義的なカリキュラム・教育方法を精力的に実践し、同時に、テスト体制での生き残りをも図る試みを蓄積しているいくつかの学校をアメリカに尋ね、現地取材し、平成23年度内の出版を目指している実践事例集とその解説を含んだ書物の翻訳・執筆のために必要な情報を収集した。 情報の収集や分析作業はある程度進められたが、それをまとまった論文として公刊することができていないので、来年度は、上記翻訳書の出版と、研究論文の発表を、学会発表とともに進める予定である。
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