2009 Fiscal Year Annual Research Report
中国における高等教育の国際競争力強化-その構造と日本への含意
Project/Area Number |
21530903
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
苑 復傑 The Open University of Japan, ICT活用・遠隔教育センター, 教授 (80249929)
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Keywords | 国際競争力 / 中国の高等教育 / グローバル化 / 留学生政策 / 東アジア |
Research Abstract |
個別大学の国際競争力強化においては、留学生の受け入れと送り出しの実績が重要な指標となっている。それが大学ランキングの発表などによって各大学間の競争も誘導している。こうした状況の中で外国の大学との連携などの施策がグローバルに展開され、東アジアの中国、日本、韓国の高等教育の関係が、互恵的な交流関係の構築に焦点が移つろうとしている。すでに多数の日本の大学、韓国の大学、欧米の大学が中国の大学との交流協定の締結、学生交換プログラムの実施、中国事務所の設置などを行ってきた。 とりわけ、近年の世界の学生移動は大きく拡大した。それはグローバル化を背景として留学の構造自体が大きく変化したことを背景としている。今年度は、そうした国際的な動きを踏まえ、文献調査と個別大学におけるインタビュー調査を通して、以下の観点から研究を進めてきた。 (1) 世界の留学生の拡大とその構造を整理した。 (2) 東アジアにおける留学生の送り出しと受け入れ、そして留学交流圏としての東アジアの特質を分析した。 (3) 東アジアにおける留学生交流の課題を考察し、「東アジアにおける留学と留学生政策-東アジア域内留学圏の可能性-」の論文を執筆し、国際会議で研究発表を行った。 現状においては、中国、韓国、日本の三国は、EUのような域内留学圏を作っておらず、またその変化の趨勢をみても、むしろ各国がそれぞれ東アジア域外との関係を強めているようにみえる。しかし長期的な展望に立ってみれば、三国の大学制度自体の類似性、経済発展段階、高等教育発展段階のズレ、米国をはじめとする英語圏への留学の需要の一極集中の回避、といった観点からみれば、東アジア域内留学の規模を拡大させる条件も少なくないし、またその必要性もある。
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