2010 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本の洋楽受容期における音楽鑑賞観の形成と位相
Project/Area Number |
21530909
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
寺田 貴雄 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (00322868)
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Keywords | 音楽鑑賞 / 洋楽受容 / 音楽教育史 / 音楽教育学 |
Research Abstract |
1.音楽鑑賞に関わる言説の検索・収集 21年度に引き続き、音楽、芸術、文学、社会、文化、娯楽などの各分野の、明治中期から昭和初期に刊行された書籍、雑誌、新聞他の音楽関連記事から、音楽鑑賞に関わる言説を検索・収集した。特に、音楽鑑賞教育史の先行研究で従来言及されていない分野の文献にまで調査範囲を拡大し、検索・収集した。 2.検索・収集した音楽鑑賞に関わる言説の抽出と整理 21年度に引き続き、収集した資料から音楽鑑賞に関わる記述箇所を抽出した。抽出した箇所は、次の5観点に基づいて整理した。(1)どのような用語で〈音楽を聴くこと〉を述べているか(2)記述内容は音楽鑑賞について何を主張しているか(3)記述内容と関連する思想的背景は何か(4)音楽鑑賞観の形成過程における3つの社会的文化的事象(市中での演奏機会の増加、蓄音機レコードやラジオの普及、学校における音楽教育の発展)の内、どの事象と関連するか(5)どのような人物が記述したか 抽出した記述箇所は、音楽鑑賞観の詳細な分析に際しての利用しやすさを考え、PDFファイル化して整理した。 3.音楽鑑賞観の抽出と思想的背景の考察 整理した音楽鑑賞の言説資料から、更に音楽鑑賞観を分析し、明治中期から昭和初期における〈音楽を聴くこと〉への人々の意識の発生と変遷についての検討作業に着手した。今年度は特に、明治期に受容された西洋芸術思想や美学理論の影響関係、音楽学における形式主義の影響関係について考察した。
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