Research Abstract |
研究の目的は、中学校英語教室における有効な英語教授法モデル創出であり,研究は3年計画で実施する予定であった。初年度は,日本の英語教育に多大な影響を与えた3教授法,「Oral Method」「Oral Approach」「Communicative Approach」それぞれの長所,短所を検討するとともに,現在,中学校の英語教室で具体的にどのように指導が展開されているのか,さらに,現在までの第二言語習得研究を概観して,日本の中学校英語教室で有効な教授法を創出することにつながる理論的な研究を中心に進めた。 その結果,次の3点について研究の成果を得ることができた。 1点目は,教室での実践授業等を参観,精査した結果,現在広く行われている第二言語習得研究から得ることのできた知見が必ずしも日本の中学校英語教室には応用,適用できないこと,すなわち,第二言語学習環境下と外国語学習環境下とでは,学習している言語に触れる量的,質的な違いから双方を同じもと見なすことはできないとの見解に至った。そこで,2点目は,1点目の見解から,外国語学習環境下のもとでの言語学習を一般的な知識や技能を学習する過程とほぼ同じと考え,知識をそれぞれの学習者の内部で体系化,精緻化する過程と,それに加えて,言語学習では特に,それらの知識を適時,適切に活用することのできるよう自動化する過程が必要で,双方をバランスよく配置することが必要であるとの結論に至った。つまり,外国語学習環境のもとでの言語学習には研究の見通しにあげた2つの過程を踏むことが必要であるとの確信を得た。 そして,最後に,3点目は,「精緻化」と「自動化」のための活動を指導過程にどの様にバランスよく配置させることができるのか,まに,しかし,これらの活動か中学校の英語教室でともに可能であるのか,その判断をするには英語教育の到達目標を明示することが必要ではないか,との結論に至った。
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