2010 Fiscal Year Annual Research Report
ニューカマー児童生徒の音楽的アイデンティティ形成の実態を踏まえた音楽教材の開発
Project/Area Number |
21530928
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
杉江 淑子 滋賀大学, 教育学部, 教授 (30172828)
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Keywords | ニューカマー / 音楽的アイデンティティ / 国際理解教育 / 外国人児童生徒 / 子どもの歌 |
Research Abstract |
日本在住のニューカマーの子どもの音楽的アイデンティティ形成プロセスの実態と課題を、(1)学校外の生活空間、(2)学校、(3)出身国(地域)の音楽文化の親・祖父母世代からの継承、という視点から明らかにするとともに、出身国(地域)の子どもの遊び歌等の収集を行い、教材化することを目的としている。平成22年度には下記の調査研究を進めた。 (1)ブラジル日系の子どもの親・祖父母・曾祖父母の世代の音楽文化について当時のブラジルの移民生活や教育に関する文献等から関連記事・資料を収集。(2)滋賀県内で多文化保育を行っている施設の訪問・参観、子どもの遊び歌のビデオ収録。(3)ブラジルで成人期まで生まれ育った現日本在住の日系三世からの聞き取り。(4)幼児期から日本で育ったブラジル人の若者の音楽活動(ライブ・コンサート)の観察。 ニューカマーの子どもの文化的アイデンティティの形成には、言語的・認知的な領域だけでなく、感性に直接関わる音楽のような非言語的領域が深く関わっている。ライブ・コンサートの実演者であるブラジル人の若者と聴衆である日本人の若者との音楽を介したコミュニケーションの成立にはこうした非言語的な感性の領域が大きく作用していると考えられる。日常の生活空間においてポピュラー音楽をはじめ多様な音楽に取り囲まれているニューカマーの子どもや若者の音楽的アイデンティティの形成については、それにつながる時間軸上の視点(世代間の音楽文化継承)と空間軸の視点(現在の生活空間における音楽文化受容)の2つの視点から整理・分析することの必要性が明らかにされた。最終年度の平成23年度には22年度の調査の継続、収集した遊び歌資料の整理と分析、教材化を行い、報告書としてまとめる。
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