2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530941
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
植田 敦三 Hiroshima University, 大学院・教育学研究科, 教授 (50168621)
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Keywords | 算数教師 / 専門的力量 |
Research Abstract |
本研究は,初等教育教員として必要な専門的力量に関する検討を踏まえ,算数のカリキュラムの課題を明らかにしその改善を図ることにある. 本研究の1年次である本年は,PISA調査に於いて注目されているフィンランドの基礎学校の教科書の分析,及び実際の算数授業の観察,分析を通して,フィンランドの算数教育の基礎となっている数学的リテラシーを分析するとともに,算数教師の専門的力量の枠組みについて検討した.その結果,わが国の算数教師に要求されている専門的力量とフィンランドの算数教師に求められている専門的力量の枠組みの基本ベクトルの違いを確認することができた.前者を「理論」重視とすれば,後者は「実用」重視である.この違いは教育の背景としての文化に根ざす基本的な性格のものであるが,今後のわが国の算数教育の方向を見定める上で,算数教師の専門的力量を「理論」と「実用」の間でどのようにバランスを取り,それらを止揚する足場をどこに見いだすかという大きな課題が残された. また,算数教師に求められる専門的力量について,本年度数会の研究会をもった.研究会のメンバーは本学算数教育担当の教員,附属小学校教員,公立小学校教員である.そこで算数教師の専門的力量について討議し,小学校算数と中学校数学とを接続するカリキュラム構成九授業のデザインカについて理論的,実践的に検討した.このことについての成果は学会で発表するとともに,学会誌に投稿し受理された.
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