2009 Fiscal Year Annual Research Report
「考えさせること」と「教えること」の調和のとれた算数科授業構成に関する基礎的研究
Project/Area Number |
21530950
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
清水 紀宏 Fukuoka University of Education, 教育学部, 教授 (50284451)
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Keywords | 数学教育学 / 算数科 / 授業構成 / 単元構成 / 認識論 |
Research Abstract |
本年度においとは、小学校算数科における「考えさせること」と「教えること」についての基礎的研究を実施した。結果の概要は次の通りである。 ※ 「考えさせること」と「教えること」の内容に関連して ・ 算数科における「教えることと」として、定義、用語、記号といった社会的知識だけでなく、アレイ図や線分図といった思考の道具がある。 ・ 論理-数学的知識と社会的知識の区別は有用であるが、算数科の学習では、両者の関わりを深化させる必要がある。したがって、付随する概念の理解を伴うことのない定義や用語の指導のような、論理-数学的知識と社会的知識が遊離した指導は適切ではない。 ・ 我が国の教科書の記述を比較検討した結果、論理数学的な本性をもつ法則の記述方法に本質的な差異がある事例を見いだした。 ※ 「考えさせること」と「教えること」という視点からみた指導方法に関連して ・ 論理-数学的知識が(社会的知識とは異なり)伝達では指導できないことと、上の点を踏まえれば、「教える」→「考えさせる」という時系列は、指導過程を単純化しすぎている。少なくとも、「教える」過程の中に「考える」ことが付随している必要ある。 ・ 集団学習において、ある児童の発想を集団全体に知らせる必要と、当該事項について考えている児童の考える機会を保証するジレンマへの対処が検討される必要がある。
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