2011 Fiscal Year Annual Research Report
「考えさせること」と「教えること」の調和のとれた算数科授業構成に関する基礎的研究
Project/Area Number |
21530950
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
清水 紀宏 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (50284451)
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Keywords | 算数科 / 思考力 / 論理・数学的知識 / 社会的知識 |
Research Abstract |
本研究は、「考えさせること」と「教えること」の調和のとれた算数科の授業の実現のための基礎的な研究を行うものである。本年度は次の2点について検討した。 (1)「考えさせること」と「教えること」の不調和をもたらす要上因に関する検討 (2)「考えさせること」と「教えること」という視点からの授業の事例研究 (1)では、片桐(2001)の研究やピアジェの知識の区分(カミィ他,2003)を手がかりに、いくつかの教材について「考えさせること」と「教えること」について検討した。その結果、「論理数学的な知識」と「社会的知識」の関連が教材解釈を困難にしていることを具体的に明らかにするとともに、「考えさせること」と「教えること」の不調和をもたらす要因として、「教材解釈に由来する要因」、「指導方法に由来する要因」、「算数教育観に由来する要因」を指摘した。 (2)では、(1)の研究で教材解釈が困難である教材の例として検討された「速さ」の授業について、「考えさせること」と「教えること」という視点からの授業の事例研究を行った。例えば、ある授業について事例的に検討した結果、その教師は、速さを「距離÷時間」でも「時間÷距離」でも数値化できることを考えさせることや、「距離=速さ×時間」や「時間=距離÷速さ」を速さの意味から考えさせることを重視した授業を展開していた。このことは、これらの関係を「公式として最初から教える」というよりはむしろ「公式を導くことを考えさせる」という教師の教材解釈や授業観が授業に反映されているものと捉えられる。他方、「時間=距離÷速さ」と「距離=速さ×時間」との関連づけについては、授業で明示的に取り扱われなかった。このことから、単元を貫く教材研究を行うことの重要性が示唆される。
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Research Products
(2 results)