2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530957
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
寺床 勝也 鹿児島大学, 教育学部, 准教授 (70264455)
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Keywords | 木材加工教育 / 木育 / ストレス |
Research Abstract |
本研究は、最終年度にあたり、これまでの成果から教材開発のためのプロセスについて検討した。過去2年間にわたり、同一グループの発達段階における「ものづくりとストレスの関係」について調べてきた結果、明らかになったことは、ものづくりに対する「好き・得意」群のストレス低減効果がものづくりを通してストレス低減効果が低くなる傾向がみられ、95%の有意水準で明らかとなった。一方、苦手意識を有するグループの追跡調査の結果、木材加工時のつまずきにおけるストレスの発生→木材加工に対する苦手の助長→生理的ストレスであると無意識に認識→その結果、ものづくりに対する苦手意識の増長という悪循環が構築されていることが、ヒアリングの結果、明らかとなった。すなわちこのことは、発達段階において獲得すべき重要な「目と手の協応動作」を用い、目的とする機能を有する製品を創造する技術科の目標を達成することが難しい状況であることが明らかといえた。このことを深く掘り下げ、教育現場における導入教材のありかた、さらには、苦手意識のきっかけとなる箇所を洗い出した結果、「のこぎりびき」の指導方法もしくは、あえてのこぎりでも完成時には使用可能な製品が完成できる教材の開発と提示が求められるといえた。そこで、もっとも製品の良否をわけるのこぎりびきの精度を吸収できる教材として開発した三脚スツールを提案した。このアクティビティは、ほぼ半日で作業が完了し、製作の嗜好性は個々人の力量にあわせデザイン豊富に対応できること、さらに、三脚のため、完成した製品はきっちりぶれのない作品として仕上がることなど、技能の発達段階すら吸収する教材として活用可能といえた。今後はこの活動内容をさらに発展させながらより成果に身近なものづくり教育を実践する必要があるといえた。
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