2010 Fiscal Year Annual Research Report
音高認知の成立過程と音楽能力の変容との関連に関する実証的研究
Project/Area Number |
21530965
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Research Institution | Hijiyama University |
Principal Investigator |
緒方 満 比治山大学, 現代文化学部, 准教授 (20512297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三村 真弓 広島大学, 教育学研究科, 教授 (00372764)
吉冨 巧修 環太平洋大学, 教育学部, 教授 (20083389)
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Keywords | 音楽教育 / 音高認知 / 聴奏・視奏の能力 |
Research Abstract |
本年度(2010年度)は,(1)対象者の音高の能力を自動的に測定・記録・集計する調査機器であると同時に,学習者が音高の能力を向上させるための自主学習に活用することを可能とする聴奏・視奏システムを開発し,(2)2009年のエクササイズ実践において音高の能力の伸長が認められなかった大学1年生I・J・K・Lの4名を対象者として,聴奏・視システムを用いたエクササイズ実践と事前事後の2回の音楽実技調査を行った。 (1) について聴奏・視奏システムは,改造したオルフ木琴(ザイロホーンNAX-16)とA/Dコンバーター(Sensor-USBI/F)と小型CPU(10型TFT)とを接続したシステムであり,小型CPUには,自習・テストアプリケーションソフトが内蔵されている。大量に長期的に聴奏力・視奏力という音楽能力を測定し,記録し,分析するために開発したものであり,《刺激の提示→反応の記録→集計》を一貫した手順で体系的に効率よく行うことができる。 (2) について(i)音高の能力が低い人の音高の記憶機能に関する主要な問題は,短期記憶機能には認められなかった。長期記憶機能か検索・抽出機能かに絞ることが妥当であろう。コメントからは,検索・抽出機能に問題が存在すると察せられた。(ii)音高の能力が低い人が,複数の音高の関係性,もしくは相対性をとらえられるようになれば,音高に関する音楽能力は改善の方向に向かうことがうかがわれる。さらに,ある音高を絶対的にとらえられるようになると,より改善に向かうと察せられた。今後,さらなる検証が必要であるが,これらの知見は,初心者の学習プログラム開発にとって有益な示唆となるものである。
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